2014年6月1日
講座No.4 SC援助論4 (看護・介護とスピリチュアルケア) 木村和子先生
これを受けた直後に書いたレポート。
【1、今の医療のあり方について】
「どうしますか?」「おまかせします」
そうするとフルコースの延命治療。
脈を取るでもなく機械がフラットになったら「ご臨終です」。
こんな人間的な温かさの感じられない話はないと先生は感じられ、スピリチュアルケアワーカーを目指されたという。
命の終結とはどうあるべきなのだろう。これでいいはずがない。
いや、命の終結をこのような形に迎えるのが、僕は嫌だ。
しかしもし自分の両親に対してそのような選択を迫られた時、僕はちゃんと「おまかせ」に変わる言葉を持ち合わせているだろうかとも思う。
祖父は長きに渡る認知症であったが、在宅介護を行い、病状は穏やかな進行を見せた。
そして最期の瞬間まで自宅で、そして父の腕の中で亡くなった。
これができたのは同居による大家族だったからであり、またみんなで介護を助け合えたからだと思う。まさにこれは理想であろうし、祖父も幸せだったと思う。
できることなら父と母もそうしてあげたいと切に願っている。
なぜなら介護をする父と母の姿はとても優しいと感じたから。
いや介護を続けるうちにどんどん優しくなっていったというべきか。
認知症の父を通じて、バラバラになりそうだった家族がまとまり、全員が満たされた気持ちで最期の時を迎えることができたことは、今でも忘れることができない。
その姿を強く記憶に焼き付けている僕は、不安も大きいが両親は在宅介護以外考えたこともない。
ただ、負担を一番強いられるのは多分妻で、僕がそれを決めていいのかわからないが・・・。
すべての医療が在宅にて行うには、現状では不可能であるとのこと。
しかしナイチンゲールの理想が、全ての病院や施療院が廃止されることを望むのだと知れたことはなんだかすごく嬉しい。
先日、地元のホスピスとして尊敬を集める野の花診療所の先生が、入院を取りやめ在宅に専念されたということで僕は施設実習ができなかったわけだけど、そういう理念があるんだろうな~と理解できた。
今後ますます在宅での医療がフォローされるシステムが確立していってほしいものだと思う。
僕は、親の命の選択に今迫られたならば、「できるだけ自宅で穏やかな最期を迎えれるようにしてもらえませんか」と言おうと思う。
【2、ナイチンゲールのDVDを見て】
「全ての病気は回復過程である。」
まずこの言葉が最も印象に残っている。
自然治癒力については自分の不眠症治療における鍼治療やヨガの導入で実感していたが、看護はその回復過程を細やかな配慮で支えることなんだと知った。
スピリチュアルケアを突き詰めていく上で、看護の思想を学べたことはとても大きい。
看護、介護の中にこそ、対人間の姿勢で最も重要なことが凝縮しているような気がする。
僕はナイチンゲールのイメージを、戦時における天使としてしか描いていなかった。
兵士から贈られたクリミアの十字架。
女王より贈られたブローチ。
彼女は自己が満たされていいはずであったのに、自分の無力さに打ちひしがれていたなんて想像もつかなかった。
しかしそこから生まれた改革が今の看護の基盤となっているということで、無力さを大きな力に変えたナイチンゲールという人の偉大さを思った。
ナースステーション、デイスペース、ナースコール、オーバーテーブル、ベッドの広い間隔、窓による換気と明るさなどなど。
あれらを一人で考えたのだとすると、どれだけ彼女は患者に寄りそえる人なのだろうか。
クリミア戦争が地獄なのだとすると、天国とはなんなのだろう。
きっと彼女の理想とする世界。病院がなくなり、全ての人が看護師となり、互いが互いを癒し合う世界。
そんなことを頭に思い浮かべてみた。
「虚空尽き、涅槃尽き、衆生尽きなば我が願いは尽きなん。」
この世の全ての苦しみがなくなるときまで、私の願いは尽きることはない。このお大師様の言葉も、僕の頭の中でシンクロした。
入口だけではあるが、看護学を学べて本当によかった。
【3、今のスピケア(自分にできること)を考える】
医療の現場に赴き、仏教を生かしながら人の苦しみの答えを一緒に探すこと。
昨年は児童施設や中学校、デイケアなどに実習に行ったのだが、地元の緩和ケア病院がやはり一番なのかなと思い始めた。
それかお寺で心の相談をする。
我々僧侶にしかできないケアがあると信じて、大下先生ら先駆者の方々のつけて下さった道を進んで行きたいと思う。
山地 弘純
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