2014年8月27日
講座No.8 SC援助論8 『神道とスピリチュアルケア』 鎌田東二先生
これを受けた直後に書いたレポート。
神道は、とても学びたいと思っていた。
僧侶として行う仏教的儀礼においても神道の存在は無視できないほど大きいものだったからだ。
古事記は以前にも読もうとしたが挫折。今回はなんとかテキストを読んだが、いまいちピンとこない。
しかし講義で先生の説明を聞いたら一気に理解できたような気がする。
まず、穢れについて僕は誤解していた。
「なんで死は穢れなんだよ。大切なあの人の死が穢れだというのか!」などと穢れに反論する一部の仏教グループの意見に賛同しかけていたが、撤回したいと思う。
文字だけでなく文脈で捉えれば、あえて反論することなくむしろ融和したい古き良き出来事であるとわかる。
穢れに対する禊は、生を産み出す儀式として、そして日本古来の文化として尊重され継続されるべきものと僕は感覚的に理解した。
僕は日本人だ。
だから仏教の僧侶であっても、やっぱり遺伝子に響くのだと思う。
死は恐ろしいものだ。誰しも目をそらしたいものだろう。しかし目を背けちゃいけない。
その恐怖や不安をぬぐいさるのが穢れを清めるということなのだろう。
穢れを清めた時、イザナギの目と鼻から三貴子が生まれた場面も、何かを僕に問いかけてくる。「死で失う代わりに生まれてくるものがあなたは見えるかい」って。
穢れとは、他人の死からもたらされるスピリチュアルペインを表現しているのかもしれない。
そのペインを取り除く方法は、自力に求めずに他力に求める方が実は優しいのかもな~とも最近考え始めたところだ。
痛々しいほどに自分に厳しく求めている人を見ると、他のものに責任を置き換えてあげたい気持ちになるのだ。
そういった意味で、清めの塩をお葬式の後ふりかけることもスピリチュアルケアなのだろうと思う。
それにしても古事記の中で神様はほんとによく殺したり殺されたりする。
先生はテキストにおいて「殺害し破壊することは次なる創造と展開につながるはたらきや現象であり、物語世界において、破壊は単なる悪ではない。」と述べられている。
なるほどと思う。破壊があるから創造があるのだと。
よく考えれば、我々の命は神様とか仏様がある程度の時期がくれば殺害破壊して下さっているのが寿命であるとも言える。
やはり昔の人々の感覚は、自分の命は自分の中にあるという傲慢な考え方ではなく、大自然ときちんと結びついていたのだと思う。
そして歌の力。
神道の立場からもこんなに大きなウェートをしめているのだな~と知った。
神道日本で一番最初に歌われた歌が荒ぶる魂を鎮めた記述。
先生の吹く石笛や法螺貝の音色にも、非常に心揺さぶられるものがあった。
真言密教でもあらゆる生きとし生けるものの中からいのちの音が発されているということだし、 やはり神仏習合に違和感はない。
僕は、やらされているのが嫌で、真言宗の御詠歌をやめたいやめたいと思っていた。
うちのお寺では必須だということはわかっているが、それでも自分の心がどうも前に向かないままになんとなく歌を発し続けていた。
しかし今回の講義を受けたことで、自分の中で納得できる理由を得たような気がする。
魂を荒(あら)から和(にぎ)に変える僕のワザとして、やっぱり僕には御詠歌も必要なのだ。
もう少し僕も歌の力を全身で味わってみようと思う。
あと、神道ソングを歌われるというシンガーとしての鎌田先生の声が聞いてみたかった。
話は変わるが、先日子どもが生まれた報告に、村にある神社にお宮参りに行った。
この村、この地に生まれた感謝がある。
場所としてのパワー。
平素は神主さんもおられないが、ただそこに在るだけでいいと思える。
ありがたい。そうただただ思う。
パワースポットは、そこへ行くだけでもスピリチュアルケアになるという。
神社だけでなくお寺という空間もそういったメリットがあるのだということも改めて感じた。
うちのお寺もそんなパワーを感じると思うし、実際そう言って下さる方もあるので、そのパワーに融合するアプローチもしていきたいと思う。
お寺で人のお話を聞くだけで、普通の場所で聞くより何割増しかになるとすれば、僕としては気が楽でもある。
オウム真理教の信者が「仏教なんて風景に過ぎない」ということを言ったらしい。
それを耳にして以来、とても悔しくてたまらない思いと、「決して風景なんかじゃない!」という反論を胸に抱いてきた。
それがふっと緩んだ。
風景は風景でいいじゃないか。「仏教は教理もすごいけど、風景もすごいんだ!」そう胸を張るのもありなんじゃないかと思えた。
とはいえただの風景に終わらず、ケアへと繋げて行きたいという気持ちは大きいけれど。
神道を聞いて、ますます真言宗も好きになってしまった今日この頃。
日本創生の神々を奉りながら、密教をより深く理解していきたい。
山地 弘純
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