古いお仏壇の魂を抜いて、新しいお仏壇に魂を遷した。 大きく立派な仏壇からは遠く長い歴史が染み込んでいる。 まだまだ使えるのに。。。 でももうどうにもならない。 都会の小さなアパートでは、これほどの立派なものを置く場所…
3月初旬。 住職は四国八十八ヶ所霊場巡拝に団体を引率し出発した。 僕も行きたかったが、2人ともがお寺を空けることもできず、残念ながら留守番だった。 お寺の予定表はその4日間のほとんどが空白で、気は楽だった。 しかしこ…
「2月3日」 長い冬が明け、春が立とうとしている。 明日から季節の上では「春」。 まだまだ雪が降ろうが、凍えるほどの寒さであろうが、かすかな春の息吹が聞こえる。 雌伏の時を乗り越え、明るく開かれていく希望に溢れた未来…
12月のある寒い日。 お葬式が二つ重なった。 一つは住職が。もう一つは僕が勤めることになった。 いつも思う。 住職じゃなく、僕で申し訳ないなって。。。 ずっと思い続けていること。 葬儀を事務的にこなすだけじゃな…
結成して10年近く経つ御詠歌の中級組。 40~60才の女性が15人ほどで、毎月の練習や、年に二回の大会参加 など頑張ってきた。 各地区からばらばらに集ったため、最初は対人関係もぎこちなかったが、年を重ねるにつれてほぐ…
「父からの教えで、除草剤を使わないように言われてるので・・・」 子供たちと一緒に炎天下で草むしりをしてきたと、少し不満気味に僕に話して聞かせてくれた奥さん。 3年ほど前のことだった。 お母さんを亡くし、今まで携わっ…
朝、お花と水を持って、坂道をよっこらよっこら登り、先祖代々のお墓にお参り。 カラカラに干からびた花を引き抜き、花立を取りはずして腐った水を捨てる。 新しい花を挿し、綺麗な水を注ぐと、なんだか気分もよくなる。 合計8個…
その家族は今年も帰って来られた。 「こんにちわ~。渋滞で遅れました。」 そう一言ウチのものに声を掛けると、休むことなくすぐさまお寺の霊園に向かう。 2家族で合計7人。 照りつける日射しの下、ぶるぶると汗をかきながら、みん…
僕は兵庫県の但馬の国に生まれた。兵庫県とは言っても発達した神戸の方とは違い、そこから車で3時間ほど離れた、北の果てにある山奥の小さな温泉の町だ。 その町の中心から、さらに深く分け入ったひっそりとした村落にお寺は立ってい…
「ご飯だから早く帰ってきなさい」 「でも父さんまだお施餓鬼中やろ?」 「なに言ってるの。 父さん、もうテーブルについてるから」 え? じゃあこのかすかに聞こえてくるお経の声は? 僕は一瞬きょとんとするが、すぐに理解でき…