お寺を継ぐことに何の抵抗も覚えなかった小学生時代。身体は弱かったが、それなりに成長していった。 僕の胸にはいつも首から掛けられたお守りが在った。恥ずかしいと思おうが、運動の邪魔になろうが外すことはできない。 高野山の…
僕は兵庫県北部の秘境の地に在るお寺の息子として生まれた。 両親が結婚して以来、5年間待ちに待ち続けた待望の後継ぎだったようだ。 なかなか子供ができなかった両親は小豆島八十八ヶ所霊場にお参りし、一心にお願いした。 そのおか…
半年後の十一月二十一日には御本尊様のお厨子の扉を閉じる閉帳式を行う。 開いたばかりだというのに閉じることを考えるとなんだか寂しくなってしまう。だけどたとえ扉が閉じても、御本尊様は中でずっと変わらず僕らに微笑んでいて下さ…