石巻の大川小学校へ着いた時には18時。どっぷりと日が暮れていた。多くの命が失われた場所で、僕は衣を羽織り、輪袈裟を掛け、数珠をする。 50部持ってきたお経の本は、そっとかばんに戻した。ほんとは明るいうちにここに辿り着い…
五十年に一度の御開帳がいったい何を意味するのか。ずっと考え続けた疑問に、ある一定の答えがもたらされた気もする。 この世で生きる上で最も大切にしなければならないのは、目に見えない、形にできないものを前向きに感じる力なのだ…
千人を越える参拝者でにぎわった四月二十五日の御開帳がまるで昨日のことのように思われ、もうお扉を閉じなければならないのかと、やや寂しいような名残惜しいような気持ちで迎えた十一月二十一日。檀信徒百名ほどに見守られ、密やかで…