今日もいつものように四人でお風呂。
娘3人を連れて入ったのね。
歯ブラシが3人とも替え時だったので、妻に言って新しいものを出してもらった。
妻は全て色の違う3本セットの歯ブラシを3人に渡し、「3人で選びや」と手渡して去っていった。
僕はそれに関与せぬまま湯船につかり歯磨きをしたりストレッチをしたりしているうちに、子供達は歯ブラシをそれぞれが手に持っていたので選び終わったんだなと思うが、どうも様子がおかしい。
三女がその新品のはぶらしを傷めようとして毛先を身体でグジャグジャってこすりつけてた。
「どうしたの」と聞くと、次女と希望のものがかぶってしまったけれど、どうやらなんだかんだと理由をつけられて、残り物を押し付けられてしまったそうだ。
そして三女は話しながら大声で泣き出してしまった。
子供のことだからと放置して、そのままこの場を去ろうかなとも思ったけど、なにかいい着地点ないかなと「3人でもっといい方法ないか話し合ったみてくれないかな」と言ってみる。
それからずっと3人がどうするかを湯船の中で聞いてたんだけど、上の二人は結局「毛先が傷んだ」「三女が譲れ」「三女が悪い」的な責めるようなことばかり言ってて、ますます三女は泣き声が大きくなって、もうお風呂はカオス状態。
時間はどんどん経過していく。
僕もだんだん腹たってきてしまって、「もうええわ。もうじゃんけんで決め直しな。それが一番公平だわ」って苛立ちまじりに言った。
「それで納得できるか?後からまたなにかあったら嫌だし、納得できないなら今のうちに言っときな。いいの?」と念押しすると、みんながうなずいた。
三女も泣き止んで、落ち着いている。
「さいしょはグー。じゃんけんホイ。」
3人でじゃんけんした結果は、なんと三女が勝ちで長女と次女が負け。
あー、そうきたか~と僕は二人の様子を伺った。
次女は希望のものを取られると顔を曇らせ、長女もその後の自分の希望のものにも影響が出るという心配な表情をしていた。
「さー、あい、好きなのをあなたから選んで」といって3本を差し出す。
希望の透明なピンクのものを選ぶだろうと見ていたら、少し迷いながら、なんとその手はさっき押し付けられた透明でない白い歯ブラシを手に取った。
「え?」
「え?」
「え?」
他の3人が思った。
「いいの?」と聞くと、
目からまた涙が溢れてきて、
「だってまゆちゃんとお姉ちゃんに選ばせてあげたいって。まゆちゃんとお姉ちゃんが好きだから」って歯を食いしばって泣くの。
僕は思わず、「あい、マジか~。」「そっか、そっか~。そう思ったんか~。」って涙目になって語りかけながら、三女の頭を引き寄せ、ギュッと抱きしめる。
「まさかじゃんけんで勝ったのに、それを選ぶなんて思わなかったよ~。」
僕は三女の想像外の振る舞いに大きな大きな愛おしさを感じた。
その途端、長女も突然大泣きを始める。
もーほんとエ~ンエンと。
つられるように次女まで静かに泣き出した。
「のぞみどうしたの。まゆもどうしたの」
「何を感じたの。」
そうな問いかけに対し、
「わかんないよ。なんでか涙が溢れてくるんだよ」と答えながらむせび泣く長女。
次女は答えることなく泣き続けてた。
何分くらい泣き続けたのだろう。
長い長い時間だったように思う。
三女はいつの間にか笑顔だった。
「私この歯ブラシでいいよ」といって、気持ちよく歯を磨いた。
長女も次女も希望通りの歯ブラシを受け取る。
泣き止んだ次女はとにかく三女に優しくしていた。
三女はまたそれでご機嫌だ。
長女はなかなかおさまらなかったけれど、なんとか涙が止まった。
とにかく長女と次女にとっても、自分が泣きながらでも譲ってくれたって行為は衝撃的なことだったのかもしれないね。
相手のことを思う気持ちに、感動しちゃったのかもしれないね。
わかんないや。
それは僕の想像でしかないから。
また明日でも聞いてみようかな。
ただね、僕は今日のこの出来事は、親子、姉妹の関係性における大きなターニングポイントになるような予感がしてる。
僕の記憶にはきっと長く長く残るだろうね。
子供達に教えられることばかりだ。
ほんとに得難い時間をありがとう。
山地 弘純
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