今世の中では、「潜在意識」とか「魂」という言葉が一般の方へも浸透してきています。
目に見えることだけしか信じないというのではなく、目に見えないこともしっかりと大切にすることによって、自分本来の姿を輝かせようと誰しもがアプローチしているのです。
昨年の初め、僕は東京に出張した際、会いたかった方にお会いしてきました。産婦人科医の池川明先生です。
この先生は胎内記憶の第一人者であり、「赤ちゃんはお母さんを選んで生まれてくるんだよ」という発信で、育児に悩んだり、赤ちゃんを愛せなかったりするお母さん達をも救って来ておられるのです。
僕も一度は両親に言ったことがあるような気がするのですが、「誰も産んで欲しいなんて頼んでないのに・・・」という台詞は、多くの方の脳裏をよぎったことがあるのではないでしょうか。
池川先生はおっしゃるのです。
「生まれる前の魂が、このお母さんお父さんのところに行きたいって自分で選ぶんですよ。だからお母さん、あなたはその赤ちゃんに選ばれた存在なんですよ」と。
今は産婦人科の先生まで「魂」というものを語られるのですね。
普段魂をお祀りする僧侶という立場の僕にとって、響かないはずがありませんでした。
「これからは魂というものが肉体に乗っているという感覚がわからない人には厳しいんじゃないかな~」と笑う池川先生は、とっても柔和で素敵な人でした。
またもう一つ「魂」という視点から捉える目から鱗の教えを聞いたのですが、教えて下さったのはカウンセラーの心屋仁之助さんです。
それは育ててくれた親に対する不満というところにスポットを当てた回答でした。
「 はい、残念なお知らせがあります。
親にもっとあ~してほしかったこ~してほしかった、こんなことはしてほしくなかったとか、それを親のせいにしてるけどね・・・。
実は、あなたがさせたんだよ。
それは生まれる前の遠い昔の約束でね、こういう風にしてほしいって打ち合わせしてたんだよ。
だからその通りに親はしただけ。
なんでこんな嫌なことを自分が自分に親を使ってさせないとあかんのって?
それはその必要があったから。
あなたがそれを乗り越える人生をやるために、それに最適な親を探してきたんじゃないか。」
この言葉を聞いた時、ガツンと頭を殴られたような衝撃がしました。
聞きたかった言葉、求めていた言葉でした。
自分を重ねながら、熱いものが瞼に込み上げました。
もうなにも親のせいにするものはないな。
わだかまりのすべてがどこかに消えていきそう。
そう思いましたし、実際にすっと何か体から抜けていくものがありました。
「もっと自分のやることを応援してほしかった」
「もっと意見よりも共感がほしかった」
「もっといっぱい抱きしめてほしかった」
「もっと干渉しないで自由にしてほしかった」
新たな理想的価値観が入れば入るほど、そんな親に対する不満を抱く人は増えているように感じます。
僕も例にもれず、どこかにそんな不満を感じていたのです。
そうか。僕が「して」って頼んでたんだな~。
打ち合わせ通りだったんだな~。
魂同士の約束だったんだな~。
それは、不満が感謝に変わっていく素敵な導きでした。
いよいよ、僕は四月二十三日に善住寺の住職になります。
過去が癒えていったこの流れの中で晴れの時を迎えることが、本当に大きな喜びなのです。
弘法大師様の読まれたこの歌が、ひと際輝きを放って僕の門出を迎えてくれるような気がします。
『 阿字の子が 阿字のふるさと立ち出でて
また立ち帰る 阿字のふるさと 』
大いなるいのちのふるさとから出でた魂は、この世に肉体を授かってその限りある人生を全うします。そして魂は再びその肉体を離れ、この世での体験というかけがえのないものを手土産に、大いなるいのちのふるさとに帰って行くのです。
「魂」の存在を今僕は改めて大きく感じています。
そう、自分で選んで生まれてきたのです。
「なんでお寺なんかに生まれたんだろう。」
「なんで僕には選択の自由がないんだろう。」
そう思ったことは過去に何度もあります。
でももう吹っ切れました。
僕は自分でこのお寺を選んで生まれてきたのだから。
山地 弘純
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