専修学院を出ると大阪に下り、その夜は卒業生全員で打ち上げをした。
居酒屋でビールを飲み、肉を食べた。
だが、思いのほか肉を胃が受け付けてくれない。
いや、それとも油を敬遠しているのだろうか
精進料理に慣れきってしまった僕は、あっさりとしたものばかりを食べていた。
あんなに毎日肉が食べたい食べたいと願っていたはずなのに・・・
打ち上げを終えて別れる前に、居酒屋の前から20人くらいで円陣を組んで掛け声を上げた。
ファイト~!オ~!とかならわかるけど、なんで大声で仏眼真言を唱えているんだよ、と突っ込みたくなったが、声を張り上げた。
傍から見れば坊主頭の酔っ払いが訳わからんことを喚いている異様な風景だったのかもしれない。
こんなんやから坊主の品格が疑われるんやぞ、と思いながらもすごく心地よかった。
みんながきっと頑張ろうと決意に燃えているはずだ。
忘れちゃいけない初心は、今ここの場にあるのかもしれない。。。
次の日、特急北近畿に乗り、家路に向かった。
スポーツ新聞を読んでいて目を疑う。
野球欄で目に入ってきた一文。
「ディフェンシングチャンピオンとして迎え撃つダイエーホークスに死角なし」
え?
あの弱かったダイエーホークスが?
優勝? 日本一?
信じられない!!
世の中の流れは速く、まるで浦島太郎だ。
はやりのファッションも、音楽も、芸能人もわからない。
大人気のプッチモニ? 何だそれは?
閉ざされた空間での生活は、まるで時間が止まっていたかのような錯覚に襲われる。
毎日毎日普通に生活していたら、変化などほとんどなく一年が過ぎるような気がするが、一年間というのはあまり巨大な時間だ。
久しぶりの娑婆の世界は、なにもかも新鮮に感じられた。
(つづく)
山地 弘純
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