温泉施設の露天風呂に入りました。
5才と3才の娘を連れて男風呂です。
時間が遅かったのでもうほとんどお客さんはおられなかったのですが、一人だけ先客さんがおられました。
狭い浴槽なので、娘たちに「お邪魔しま~すって言って入るんだよ」と伝えてました。
娘たちは恥ずかしがって言えないんじゃないかと思いましたが、僕に習いながら、おじいさんに向かってちゃんと言えました。
特に5才の娘は大きな声で言えたのでビックリです。
でもすべてに返事は返ってきませんでした。
その人は目をつぶってしまいました。
「あ~、そっか~。そうなんだ~。」
僕はつぶやきました。最近の僕の魔法の言葉です。
その言葉にはこのような意味が隠されています。
その人にはその人の価値観があるんだもの。お邪魔しますという言葉にうまく返せないような、そんなその人なりの正しさとか、人生の物語があったんだろうな~と。
これまでの僕なら、「子供が勇気出して言ってるのに、返事すべきだろ。」とか、「この人は間違っている」とか、自分の正しさという答えへと至る証明の方程式を考えるだけだったのでしょう。
そして、そんなんだからわざわざ勇気出してまで言葉を言いたくなくなるんだ。こんな気まずい思いになるのなら始めから言わん方がマシだ。とか考え始めるのです。
僕はこんな思考をほわ~っと和かに観照していました。
そのうちにその人が我々と同じ空間を出て、もう一つの浴槽にいった時、子供たちも追いかけていきます。
「お邪魔しま~す」×2
しーん。。。
やはり返事は返って来ずです。
でも僕は、「よしよしいいぞ~。成りたい自分を意識して生きるとすれば、相手の行為でふてくされてる自分じゃなく、お邪魔しま~すって気持ちよく言える自分でありたいもんな~。」とか思いながら、見ていました。
子供たちは僕の入っている湯船に戻ってきました。
「お父ちゃん、お邪魔しまーす」
「はーい、どうぞ~。すごいな~。よ~言えるようになったな~。」
「うん」
と、二人とも嬉しそうです。
「言ったけど、言わんかったな~」と3才の娘がおじいさんを遠目に見ながら言います。
「そっか~」
と言いながら、頭を撫でました。
もうそろそろ出ようかと提案しようとした頃、「ねー、もう一回あっちにいこうか」と上の娘が下に向かって言います。
「うん」
え?
まじ?
さすがにそれは・・・。
向こうさんも不快になるのでは・・・。
や、やめ・・・
とか思う僕をよそに、子供たちはすたこらさっさともう一つの浴槽へ。
二人が時間差で言った
「お邪魔しまーす」
「お邪魔しまーす」
の後の静寂。
・・・。
僕のノド、ごくり。
そこへ思いもしない静寂を破る温かい口調の言葉。
「ど~ぞ~」
え~!
うわ~。
マジで~。
感動!!!
僕は思わず身を乗り出していました。
やっぱり子供はすごいわ。
またしても子供たちに教えられています。
返事はもらえないと決めつけない子供たちの素晴らしさ。
おじいさんの表情は見えなかったけれど、無邪気な空気は相手を包みこみ、溶きほぐすのだろうな~と思いました。
いや、溶きほぐすとかいう結果以上に、相手うんぬんでなく、自分がピュアな思いを発信し続けるというプロセスが素敵だな~って改めて思えました。
山地 弘純
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