5月27日に第2回きらめ樹お話会と間伐体験会が開催され、今回はついに皮むきを行うことができました。
新元号に変わり、最初に「令和元年」という文字を記して集客したイベントがこれだったというのも、とても大きな思い入れのあるものになりそうです。
大阪は高槻市から、県内でも龍野市や養父市など遠方からもわざわざお越しくださった皆さん。
そしておなじみの地元の皆さん。
自らの手で自らの山に手を入れるという記念すべき時にご一緒くださった皆さんとのご縁は、僕にとってかけがえのないものです。
僕はここで間伐された木材を、ぜひお塔婆として使いたいんです。
これはずっと考えていたことでした。
この山の杉の木は檀家の皆さんが未来への資産として残してくれたものです。
まさかこのような負の遺産になるなどと思いもしなかったことでしょうが、その当時みんなで力を合わせ植林をしたことや、冬が開けるたびに植えた杉の木の歪みをまっすぐに立てるという作業をしたということなどを高齢の方々からお聞きしています。
それはお寺を中心として繋がる子々孫々の豊かさを願ってのことでした。
そんな過去の想いを汲みながら、このまっすぐに伸びた杉の間伐材を使って、ご先祖の魂を降ろす塔婆として使えたならば、きっと未消化な感情が癒されるというか、過去と今の繋がりきれなかった淀みのようなものがす~っと流れていくのではないかと感じているのです。
きっと故郷の木を使った塔婆の依り代ならば、ご先祖さまの魂も喜んで降りてこられることでしょう。
多少単価が上がろうとも、多少見栄えが悪かろうとも、檀家の皆さんもご理解いただけることでしょう。
(きらめ樹レディース活躍するきらめ樹工房)
(お塔婆を加工中)
ちなみにうちのお寺では、二年ほど前に近場の仏具屋さんが塔婆の取り扱いを止めて以来、ネット通販で購入しています。
安価ですし、材は真っ白で節目もなく、とても書きやすいものです。
どこの国のものが使われているのかを確認してみると、「ルーマニア産白松」「カナダ産バルサムファー」「ドイツ産もみ」のどれかが使われているということでした。
調べてみると、ルーマニアなどはヨーロッパの原生林の約2/3という広大な原生林を持つ国であり、EU内でも最後の原生林と言われているのだそう。
しかしそこでは違法伐採が蔓延し、グレー木材に対する規制の緩い日本はその捌け口になっているというのです。
康平くんが伝えてくれるように、日本にはこれほどの宝が日本各地に眠っているというのに、それを活用せずに外国の安い木材に頼り、そこの原生林が破壊されていくという事実があります。
僕は僧侶として、日本各地の山を切り崩して大規模霊園が造成されること、塔婆の外材使用が原生林破壊の一助となっていることなど、知らぬ間に大きな権益に飲み込まれた仏事が環境を破壊しているという問題を突きつけられ、とても心が痛いのです。
だからこそ、前回のきらめ樹を開催した後に、きらめ樹間伐材のお塔婆を購入したいという強い願いが生まれました。
木を間引き、木を加工し、木を使用する。
そのサイクルができてこその森の再生です。
「ありがとう。あなたのいのちをいただきます。」
みんなで丁寧に選木し、お酒とお塩をまいて、手を合わせてから、皮を剥きあげました。
そして来年までそのまま置いておいて、乾燥した樹を伐採します。
皮むき間伐 『きらめ樹』。
これはほんとに素敵な活動。
これからますます日本全土で広がりますように。
【当日のタイムライン】
≪集合≫
ありがたいことに、晴れました~。
開催地の善住寺に集合です。
≪お話会 第一部≫
きらめ樹ナビゲーターの和田康平くんが「きらめ樹」の説明をしていきます。
お話の内容については前回のブログをご覧ください。
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12422213989.html
≪自己紹介≫
みんながそれぞれの名前や参加の経緯などを話しました。
ナビゲーターの康平くんは単身赴任中で神戸から。
と、その息子くん。
町内から好美ちゃん。
弘子さんは養父市から。
妻はここに住んで10年の元大阪人。
町内に嫁いだ妹も。
町内のともちんは僕と一緒に主催者。
健人さんは高槻市から。
由美ちゃんは龍野市から。
もう一人のナビゲーターである康平くんのパートナー江美子ちゃんは智頭町から。
そして僕は生まれも育ちもこの場所です。
ライブ動画を通したオンライン参加の方も一名ありました。
しかも由美ちゃんの知り合いだったりして・・・。
「ほんと繋がってるよね~」とみんなが口々に言って頷いていました。
≪お話会 第二部≫
前日塔婆にしたい旨を康平くんにお話ししたら、急遽スライドに挿入してくれていました。
赤ちゃんをおんぶしながら、活動に対する想いを語る江美子ちゃん。
≪間伐体験会≫
30度を越えた前日とは異なり、比較的気温は上がり過ぎず、絶好のきらめ樹日和だったと思います。
「お邪魔しま~す」と、山に向かってご挨拶です。
さ~、山へ入っていきます。
康平くん曰く、自分がきらめ樹した中でもっとも厳しい地点にあるのだとか。
ほんとに険しい道のりなんです。
みんな無事にゾーニングした地点に到着です。
康平くんは100㎡のゾーンをA、B、C、Dの4つ作ってくれていました。
まずは選木の説明があります。
僕は今回は記録係です。
計測係はメジャーとチョークを持って樹の幹(斜面の上側に立って根元から120cmのところ)の太さを計測します。
「〇番、〇cm!」と記録係に向けて叫びます。
5番、チョークの文字が濃くて見やすかったよ。
かなり急な斜面での選木ですが、山と急速に仲良しになっていけるような気もします。
ゾーンの中にある木の、本数と断面積合計を計算して記入します。
僕は一本一番大きな木の断面積を足し忘れていて、みんなの頭を「???」にしてしまいました(笑)
さ~どうしようか。選木は最も尊い時間だと康平くんは言います。
みんなで木の上から下まで何度も眺めながら、どの子のいのちを残し、どの子のいのちをいただくのかを話し合うのです。
しっかりと時間をとって話し合っているうちに、樹の先端が折れているのを見つけたり、樹の根元のあたりに生えているモミジに目を付けてその成長を妨げているだろうと推測したり、いろいろなことが見えてきました。
遠くから見ていて「この子は間伐したほうがいいのではないか」という意見が出てから近くでよく見ると、反対側にこんな穴が空いていたので、みんなの意見も皮を剥くということでまとまりました。
みんなが真剣な表情で木々たちを見つめ、選木にたくさんたくさん時間をとりました。
「この子を間引いたら、きっとこの広葉樹たちがもっともっと大きく枝を伸ばすだろうね。」
そんなことを思い浮かべながら、みんなで選び、決断しました。
それでは、残す木たちに目印のリボンテープを巻いていきます
普通なら間伐する木に印をつけるのですが、きらめ樹では皮を剥くのに支障がでるので、残す樹に印をするのだそう。
皮むきに入る前に、いのちをいただく儀式を行います。
お酒とお塩を樹の周りに撒きました。
それから、「ありがとう」と心の中で想い、手を合わせました。
いよいよ、皮を剥いていきます。
みんなが力を合わせ、
悪戦苦闘しながらも
やる気に満ち溢れながら
貴重な機会と愛おしみ、
楽しみながら、
木々に向き合いました。
剥きにくかったけど頑張って、
なんとか剥くことができました
さ~、仕上げに心を合わせて上に向けて皮を剥き上げます。
ここで僕が「レッツ~」の掛け声を出させてもらい、みんなが「きらめき~」と言いながら皮を引っ張ります。
剥きにくい樹ほど、元気がない樹なのだそうです。
それでもちゃんと上まで剥けました~。
すご~い。きれい~。
ひんやりした木が気持ちいい。
学校帰りで間に合ったうちの次女や
同じく長女も、剥き上げた木の感触を確かめることができました。
皮むきがすべて終了した後、残す樹の中で一番太い樹の周りにみんなが集まります。
手を繋いでぐるりと輪を作りました。この輪の大きさが未来のこの木の幹の大きさです。
目を閉じて、康平くんの語りかける言葉を聞きながら、「500年の森の夢」をイメージしました。
皆さん、ほんとにありがとうございました。
最後にみんなで、「レッツ~、きらめ樹~」
全員参加型森林再生プロジェクト「きらめ樹」
次回は7月1日。
これからも、どうぞよろしくお願い致します☆
※上記全ての詳細は、以下の「森の蘇り」ホームページをご覧ください。
https://mori-no-yomigaeri.jimdo.com/
【きらめ樹ショートムービー】
【過去のきらめ樹記事】
◎皮むき間伐「きらめ樹」というワクワクの活動を引っさげて女神がうちにやってきた
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12398761077.html
◎ 『第一回きらめ樹☆お話会と選木体験会』大成功!~私たちの想い描く森の500年後~
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12422213989.html
山地 弘純
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