兵庫県美方郡新温泉町では日本最大級の風力発電事業が計画されています。
いのちをつむぐ会では、このまま進められることに強い危機感を抱いています。
職務執行者 : アダム・ベルンハード・バリーン → 二ティン・アプテ
海外資本会社 : EQUIS ENERGY → VENA ENERGY
区域面積 : 約2,830ヘクタール → 1967ヘクタール
最大総出力 : 92,000kWの風力発電所
4500KW級の巨大風車を21基
平成29年 9月14日 環境影響評価配慮書告示
平成29年 2月 9日 環境影響評価方法書告示
(今後の予定)
令和2年 春予定 環境影響評価準備書告示
令和2年 冬予定 環境影響評価評価書告示
試験運転期間 : 令和6年1月~令和6年3月(予定)
営業運転開始 : 令和6年4月(予定)
今回の説明会で、事業者は「合同会社NWE-09インベストメント」から、「合同会社NWE-10インベストメント」に財布を分けるという理由で変更になり、その後「日本風力エネルギー株式会社」として事業にあたるということでまたしても変更を表明してきました。
事業者の名前がコロコロと変わることで、その所在をぼやかされているような気がして、非常に不快です。
この辺りが身売りや買収を繰り返す投資会社の信頼のおけない部分ではないでしょうか。
さて、そちらへの不信感も今後の論点の一つにはなるのでしょうが、やはり最も我々が懸念する問題を今一度取り上げてみたいと思います。
低周波(耳に聞こえる音)、超低周波(聞こえない音)による健康被害は実際どうなのかということです。
以下は風力発電に関するウィキペディアの説明文です。
ウィキペディアより
風力発電 【健康への影響】
風車近傍に居住する住民から苦情(次節参照)は睡眠への影響に関するものがほとんどである。環境省は全国34カ所の風力発電施設周辺住民747人と対照地域住民332人を対象に、睡眠影響の疫学調査を実施している。風車騒音による睡眠影響は慢性的となることが多く、風車騒音に起因する「睡眠障害(環境性睡眠障害)」という疾患に直結する。
環境省の調査結果では、環境性睡眠障害の有病率と風車騒音の騒音レベルとの関連が解析され、騒音レベルとの関係が示されている。
それによれば、風車騒音の屋外騒音レベルが41dB以上の地域で、睡眠障害有病率の統計学的に有意な上昇が検出されている。なお、風車騒音による睡眠影響については、システマティク・レビューやメタアナリシスも含め、多数の疫学調査結果が報告されている。
環境省は2017年5月に、風車騒音の影響を評価するための指針を示している。指針の根拠となった検討会の報告書では、環境省自らが行った疫学調査も一部引用されてはいるが、「風車騒音は、わずらわしさ(アノイアンス)に伴う睡眠影響を生じる可能性はあるものの、人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低い」とされた。
「直接的に」という言葉を挿入することで、風車騒音が「人の健康に影響を及ぼす可能性が低い」と誤解を与えるような結論が記載されている。
風車騒音による睡眠障害は、音の知覚を介して生じており、直接的には影響を及ぼしていないとも言えるが、魚介類や大気を介して生じた水俣病や四日市喘息などの公害病も含め、間接的に健康影響が生じるのが公害病の特徴である。
公害病の因果判断に直接・間接は重要ではないにも係わらず、風車騒音による睡眠影響を「直接的な健康影響」から除外し、風車騒音と健康影響の因果関係を否定している。
環境省が指針を示して以降、「人の健康に直接的に影響が生じる可能性は低い」という事業者回答が見受けられるが、この回答には風車騒音による睡眠影響や環境性睡眠障害という疾患が含まれていないことに注意が必要である。
環境省はこのように風車騒音と健康被害の直接的な因果関係を否定する指針を出しています。
これにより事業者が説明の場で、「人の健康に直接的に影響が生じる可能性は低い」という文言を使った場合、住民から安全だという風に解釈されてしまう恐れがあるのです。
なんというか、政治的な都合のいい言い回しには聞き飽きたというのが率直なところ。
いつもその曖昧な言葉で大衆は誤魔化されてしまうのです。
「間接的な影響」
これこそが最も重要なところなのです。
ですから我々地元住民は、注意が必要であるという「間接的」に生じる「健康への影響」をしっかりと突き詰めていかなければならないでしょう。
それを論じるに相応しいデータが、まさにその環境省のホームページに掲載されています。
環境省ホームページ
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/special/houkoku/data_h27/5-1307.html
課題成果報告のページには 「風力発電等による低周波音・騒音の長期健康影響に関する疫学研究」の成果が掲載されています。
これは研究代表者の石竹達也(久留米大学医学部)氏より、2016年3月11日に「環境研究総合推進費 課題成果報告会」で発表されているものです。
(以下ホームページより抜粋)
【研究目的】
国は風力発電等による低周波音・騒音の苦情増への行政的対応のための指導指針や評価方法の確立を目指している。しかし、その確立のためには低周波音・騒音曝露による長期健康影響に関するデータが不可欠である。そこで、本研究では地域住民を対象に横断的疫学研究を実施し、低周波音・騒音が長期健康影響のリスクファクターである可能性についての検討を行う。研究期間は平成25 年から3 カ年である。具体的な内容は最近の疫学研究の情報収集分析、本研究のための健康調査票の開発・評価、風力発電施設周辺における全国規模の健康影響調査の実施、睡眠モニター装置を用いた客観的睡眠判定、健康リスクの事前評価手法の導入を目指す。
以上の研究の結果からみても、かなりの割合で睡眠障害があるという報告がなされています。
長島町は風力発電施設設置におおむね好意的であったようですが、このような結果が出ているのです。
これをよりわかりやすくグラフ化したものが以下の図です。
これは2018年に石竹達也氏の論文から抜粋しているので、多少成果発表の時と数値に変動がでているように思いますが、より情報が多く手に入ったのだと思います。
(元養護教諭の鎌田美由紀先生が石竹達也氏の許可を得て、作成してくれました。)
ということは、事業者の説明会で音の聞こえない領域(超低周波)では健康被害はないという認識を示していましたが、超低周波の睡眠障害がここに報告されているにもかかわらず、それを認識できていないのです。
環境省の指針もそうです。この論文をまったく反映できていないのは、経産省に押さえつけられてしまったからなのでしょうか
ですから、音が聞こえなければ大丈夫という認識でアセスメントは進められてきます。そこを変えない限り、風の少ない時に計算上耳に聞こえないという値をはじきだせば、環境アセスメントはクリアしてしまうのです。
我々が事業者や国に物申したいところは、アセスメント法を越えたところにあります。
今まで健康被害を主張するものたちは、根拠のないクレーマーのような扱いを受けてきたのです。
時には嘘つき呼ばわりをされたこともあったでしょう。
時には地域からはじき出されたこともあったでしょう。
しかしこの研究によると、かなり高い確率でその存在が確認されているのが誰の目から見ても明らかです。
しかも環境省の成果報告会でこのような報告なされているわけですから、それこそ公正なデータであると言い切れます。
なのにこちらが大きな声をあげない限り、国の経済政策から外れる都合の悪いデータは埋もれて行ってしまう可能性がありますので注意必要です。
というわけで、ご参考にしていただければと思います。
そんな悪いデータばかり挙げて偏っていると言ってくる方も時々ありますが、逆にいいデータばかり挙げて説明会をしてくる事業者に対しては、まさにバランスがとれてくるのではないかと思います。
我々は風力発電に反対というスタンスではありません。
新温泉風力発電の計画地に反対であると言っているのです。
住宅からあまりにも近いこの事業の危険性を鑑みて、もっと距離を取ってほしいと言っているのです。
十分距離をとった上で、さらにもっと出力の小さいものにしてほしいと言っているのです。
下の図をご覧ください。
このように新温泉風力発電事業は風車との至近距離に多くの住宅が入っています。
石竹氏の成果報告において、健康被害は一基あたりの出力(音響パワーレベル)が大きいほど、風車からの距離が近いほどに発生していると明らかになっているわけですから、そこを譲ることはできません。
そしてなんと、先日熊谷区が区の中にある4つの村すべてで反対の採決がなされたということで、「熊谷区として反対」という表明を公式の場でなされましたが、このたび「立て看板」も設置されてました。
このように風車から住宅までの距離が500メートルから1000メートルという至近距離で、しかも両側の山から挟まれるという無責任な計画は許せるはずがありません。
「風力発電絶対反対!!」
※署名にご協力いただける方は、県内外問いませんので、署名用紙を印刷してお名前と住所を記入し郵送下さい。
↓をクリックし、署名PDFをご印刷下さい。
http://www.zenjuji.jp/wp-content/uploads/2019/07/a3shomei.pdf
(郵送先 兵庫県美方郡新温泉町熊谷1286 山地弘純まで)
山地 弘純
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