そしてそれがどういうものか関心をもっておられますか。
我々の町のことです。風力発電についてしっかりと知り、自分たちの住む町は自分たちで守りたいと強く思い、ここに発信させていただきます。
2018年の2月、突然降ってわいた湧いたような風力発電計画の話が耳に入りました。
この私たちの住む新温泉町に日本最大規模の風力発電事業の計画が進行しているというのです。
それを聞いたとき、私は「へ~、いいことじゃないの」と思いました。
先の東日本大震災にともなう原子力発電所事故により、福島県が大変になったことは日本中の人々に恐怖として焼き付いていることと思います。
うちの町も福島キッズの活動に協力し、夏休みのホームステイ先として受け入れをしました。
我が寺もホームステイを受け入れたり、福島キッズ寺っ子体験スクールを実施したりして、実際に福島県の子供たちと触れ合いました。
その中で、子供たちが大自然の中に伸び伸びと遊ぶ姿を見ながら、それを当たり前にできないことに悲しさを覚えたものです。
私の中でも、脱原発という意識は強くなっていきました。
脱原発を果たすためには、地球に優しい発電への転換が必要であり、風力こそそれに適うものであるという認識がありました。
新温泉町でそのような自然エネルギーへの転換に協力できて、地域の活性化にも繋がるならば、それは素晴らしいことじゃないかと。
しかし調べれば調べるほど、どうやらそうとばかりは言えないことがわかってきたのです。
このまま何も知らないままに計画を進められていいのでしょうか。
我々、この新温泉町に住む方々、その近隣の方々に、もっと風力発電への意識を持っていただきたく、問題提起させていただきます。
もくじ
1、新温泉町風力発電事業の概要
①『EquisEnergyJapan』とはどんな事業者なのか
②日本最大級事業の規模とその懸念
③外資系であることのリスクと負の遺産
④強引に進める事業スケジュールへの不信感
⑤新温泉町事業とともに現在進めている風力発電計画
2、健康への影響はどうなのか
①音 (騒音・低周波音) による被害
②シャドーフリッカー(風車の影)による被害
③電磁波による被害
3、自然環境への影響はどうなのか
①動物、植物、生態系への影響
②地形及び地質への影響
③水環境への影響
④その他(廃棄物、景観など)
4、今私たちにできること
①各地で行われている反対運動について
②環境保全を進めているグループの見解
③この愛おしい大自然を守るために
まずは今回の新温泉町風力発電事業がどのようなものなのかを整理してみたいと思います。
そもそも今回の事業を進める会社はどういう会社なのでしょうか。
『Equis Energy (エクイスエナジー)』は、シンガポールに本社を置く海外の投資会社のようで、その日本法人が『EquisEnergyJapan』だということです。
その『EquisEnergyJapan』には『日本再生可能エネルギー株式会社』と『日本風力エネルギー株式会社』があります。
そして今回の実際に事業を行うのはその『日本風力エネルギー株式会社』の子会社である『合同会社NWE-09インベストメント』という会社になっています。
代表者はアダム・ベルーンハード・バリーン。わずか資本金10万円の会社です。
プロジェクトごとに特別目的会社を設立しているということなので、責任の所在が非常にわかりづらくなっているように感じました。
この情報から、地元の人たちから「資本金10万円の会社に何ができるものか」という声が聞かれ、楽観視している方もいるようですが果たしてそうでしょうか。
さらに調べていくうちに、2017年10月25日「投資資金 GIP(グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ)を中核とする企業連合は、シンガポールを拠点とする再生可能電力プロジェクトの開発会社であるEquis Energyを、債務を含めて50億ドルで買収することで合意した。」という驚きの記事をネット上に見つけることができました。
そして2018年1月19日に「譲渡実行全額現金にて完了された」と『Equis Energy 』のホームページ上で報告されています。
まだつい最近のことですね。
『グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ』は英ロンドンのガトウィック空港を所有する米の投資会社であり、世界最大級のインフラファンドであるということ。
また企業連合にはカナダの年金基金運営業者、中国国営の中国投資も参加しているのも不気味です。
さらには『Equis Energy 』は買収された後、『Vena Energy(ヴィーナエナジー)』に社名を変更したことを発表しているそうです。
そしてそれに伴い日本法人も『Vena Energy Japan』へも移行しているようですね。
もうすでに『Equis Energy 』という名前は過去のものになっていることを、我々は頭に入れておく必要がありそうです。
とにかく、より強固なバックができたということは間違いありません。
その世界最大級のインフラファンドが本気でこの新温泉町に狙いを定めてやってくるのです。
※インフラファンドになぜ資金が集まるのかという仕組みはこちらをご覧ください。
『インフラファンド入門』 http://reit.tse.or.jp/sp/infrafund01.html
このたびの新温泉町風力発電事業の対象事業実施区域はこのとおりです。
赤線が風力発電機の設置予定範囲です。
熊谷、久斗山、伊角、桧尾、数久谷、高山、歌長、久斗山周辺の尾根伝いに風車が建設されると方法書に描かれた図面は示しています。
特に熊谷などは、四方が風車に囲まれるようで圧迫感を感じます。
さらにこのたびの計画は、県内最大級の出力となる計9万2千キロワットの風力発電施設を建設するものとしています。
なんと21基もの風車が立ち並ぶ予定で、その一基の風車は国内最大サイズにものとなり、3枚羽根の風車は直径約130メートル、最大の高さは約150メートル、出力は陸上では最大規模の4500キロワットを見込むということです。
ものすごい大きさです。
従来の3000キロワットのものでも様々な健康被害や自然環境影響など問題が噴出しています。
それなのに1、5倍のものを建てるということはあまりにも危険すぎやしないでょうか。
我々の町が、一つの人体実験の場にされようとしているといっても過言ではありません。
県内でも外資系の事業者故に起こったこのような事例があるそうです。
イスラエルから参入した『タワージャズジャパン』が西脇市にある半導体工場を突然閉鎖し、従業員888名がいきなり路頭に迷うことになりました。
日本の企業ならばこのようなことは起こらなかったに違いありません。
外資系は特にもうからなかったらすぐに撤退し、次のもうかりそうなところに飛びつきます。
日本法人と切り離すことが容易にできるため、責任から逃げることも可能なのでしょう。
幸いこのタワージャズは本社タワーセミコンダクター社が退職金を全額支払ってくれたのですが、それも粘り強い交渉があったからだということをお聞きしています。
そのような事例もあり、再生可能エネルギー推進法である「FIT法」が改正され、最低20年は稼働することを義務付けているのだということです。
その中では、事業計画をしっかりと出し、責任の所在を明確にすることを義務付けてはいますが、それはやはりあくまでも国内の法律であるため、逃げられるリスクは避けられないということです。
FIT法とは「固定価格買取制度」のことで、太陽光発電のような再生可能エネルギーで発電した電気を、国が決めた価格で買い取るよう電力会社に義務づけた制度で、自然のチカラを電気エネルギーに変換する「再生可能エネルギー」の導入を事業者に積極的に推進する法律です。
そんなわけで、『Vena Energy(ヴィーナエナジー)』が国内の企業ではないということにも懸念を覚えるのです。
もし仮に途中で無責任に撤退した場合、その巨大な風車だけ取り残されたならどうなるのでしょうか。
今新温泉町では空き家の取り壊しに対しても議論されていますが、風車の取り壊しまで町が責任持てるのでしょうか。
このようなブログ記事を見つけました。
外資や、国内であっても外からその町に資本が入ってきて風力発電事業を起こすことは禁止されました。
これによって、大きな被害を地元に及ぼすような事業がなくなってきたそうです。 (くまもりニュースより)
なるほど。ドイツは地元愛からスタートできるのですね。素晴らしいと思います。
つまりこの記事を見てみても、やはり外資系は注意が必要だと感じています。
大きな被害を地元に及ぼす可能性もあるということです。
それに仮に20年を全うし、風車を壊すところまで責任を持ったとしても、水源を狙う中国の投資家にその土地を売却してしまうリスクだってなきにしもあらずなのですから。
我らの町の子々孫々に、負の遺産を残すようなことはしたくありません。
降って湧いたような風力発電の噂が流れてすぐ、あまり話題性のない中で近隣への説明会が行われています。
3月9日(金)19時00分より
2.新温泉町夢ホール(兵庫県美方郡新温泉町湯990-8)
3月10日(土)13時30分より
3.新温泉町浜坂多目的集会施設(兵庫県美方郡新温泉町浜坂2673-1)
3月11日(日)13時30分より
事業者は計画実施にあたり、『環境影響評価法』に基づき、環境への影響を回避、低減する必要があります。
アセス法ともいい、道路、ダム、鉄道、埋立て、発電所、飛行場ごみ処理場などの13棟類の事業が対象とされます。(Wikipediaより)
下図のとおり、事業計画がなされてから「配慮書」→「方法書」→「準備書」→「評価書」という査定を受けてから実施になります。
説明会が行われた時にはすでに方法書の段階です。
それでは我々の意見はどこで反映されるのでしょう。
●方法書の縦覧について
縦覧場所:
兵庫県農政環境部環境管理局水大気課環境影響評価室、新温泉町役場本庁舎企画課、新温泉町役場温泉総合支所地域振興課
香美町役所町民課、香美町役場村岡地域局健康福祉係、香美町役場小代地域局健康福祉係
縦覧期間 : 平成30年2月9日(金)から平成30年3月12日(月)まで
●意見書の送付について
「(仮称)新温泉風力発電事業 環境影響評価方法書」について、環境の保全の見地からご意見をお持ちの方は、備え付けの用紙のご意見欄に意見の理由を含めてご記入の上、縦覧場所に備え付けの意見書箱にご投函頂くか、以下の当社宛先までご郵送ください。
○受付期間:平成30年2月9日(金)から平成30年3月26日(月)まで
つまり、説明会が行われてから二週間ほどしかこの風力発電の方法書を縦覧することと、意見書を提出することができないという状況だったのです。
たった二週間でどんな住民の意見が聞けるというのでしょう。
これではまるで住民から意見がでないように早急に窓口を閉じてしまおうという意図が見えるように感じてしまいます。法律からしてこうなのです。
もう少ししっかりと説明を行ってから、じっくりと意見書を提出することができる期間を設けてほしいものです。
事業者は法律で定められている最低条件のままに進めてきています。
しかし、実はこのたび井戸敏三知事から事業者へと返信されている意見書の中ではこのように書かれています。
(仮称)新温泉町風力発電事業に係る環境影響評価方法書に関する意見 (知事意見書)
1、全体事項
(6) 本事業計画及び環境影響評価の内容について、適切な機会をとらえて地域住民の対して十分説明を行うとともに、事業を進めるにあたっては地域住民の理解を得るよう最大限の努力を行うこと。
なお、インターネットでの図書の公表にあたっては、法に基ずく縦覧期間終了後も公表を継続することや、印刷を可能にすること等により積極的な情報提供に努めること。
それでも事業者は「著作権」を理由に図書の公表継続や印刷を拒んでいるのが現状です。
そこには法的な拘束力がないからですが、知事の意見には従っていません。
ちなみに「準備書」「評価書」のところまで行くと、もう覆すことがほとんどできない状態になるそうです。
だからこそ我々は、のんびりしてはいられません。
現在、『合同会社NWE-09インベストメント』が手掛けるプロジェクトで、ほぼ同時進行でこれだけの風力発電事業が進められていました。
一気に畳みかけてきているようで、恐ろしささえ感じます。
実施区域・・・佐賀県唐津市及び伊万里市
実施区域・・・鳥取県鳥取市
実施区域・・・鳥取県伯耆町、江府町、日野町、南部町
実施区域・・・島根県浜田市
実施区域・・・兵庫県新温泉町
実施区域・・・和歌山県紀の川市
さらに同系列の会社が手掛けている案件も見逃せません。
、『合同会社NWE-03インベストメント』
場所・・・和歌山県海南市、紀美野町、有田川町
『くにうみウィンド1号合同会社』
実施区域・・・青森県北津軽郡中泊町、つがる市、五所川原市
(知事意見H30.3.5)
『日本風力エネルギー株式会社及び青森風力開発株式会社』
2016年2月29日 横浜町北風力発電事業配慮書公告
実施区域・・・青森県上北郡横浜町
(知事意見H28.5.31、事業廃止公告:H29.7.13)
2016年2月29日 八森風力発電事業配慮書公告
実施区域・・・青森県上北郡六ヶ所村
(知事意見H28.5.31、事業廃止公告:H29.7.13)
日本全国、手当たり次第に仕掛けている感じです。
ほとんどが方法書の段階ですが、中里の案件だけ準備書まで進んでいることが気に掛かります。
一方、2案件が事業廃止になっていることが、少し心強さを与えてもくれます。
さて、次に風力発電が及ぼす健康についての影響を考えていきたいと思います。
まず最初に懸念されるのが音による被害で、風車による騒音、中でも問題となっているのが低周波音、超低周波音による健康被害です。
昨年の12月に行われたオーストラリアの裁判では、世界で初めて低周波被害を認める判決が出されました。
わずか半年ほど前のことです。これは大きな追い風になると思います。
被害者の正しさが証明された:風車騒音は「病いへの道」
2018.2.28 Hamilton Spectato Natalie McGregor
昨年12月、世界で初めて、オーストラリアの行政控訴裁判所(AAT)は、風車が生み出す低周波音と超低周波音は病気に至る道であると宣言した。
連邦裁判所の上席裁判官は、アデレードで開かれた公聴会で風車の健康影響を審査し、その結果、「騒音被害とある種の病気ーー高血圧や心血管疾病などーーの関係は確立されているが、その一部はおそらく(風車による)睡眠妨害や心理的ストレスで引き起こされている」との結論を出した。
その要約--関係する専門家は全員一致で支持--の中で、裁判所は、風車騒音が睡眠妨害の閾値とされている40dB(A)(デシベル、音の強さ)を超える例が無数に記録されていることを発見した。
「たとえ耳にはきこえなくても、低周波音、そして超低周波音は人体にそのほかの影響を与えているのだろう。それは聴覚を介して起きるものではないが、かといって、すべてがわかっているわけでもない」
「それらの影響には、船酔い状態やめまい、耳鳴りのような症状も含まれる」
また、現在、風力事業者が取り入れている測定方法(dBスケールA)は、被害の測定には適切ではないことも確証されている。
なぜなら、風車が出す音のかなりの部分は低周波数域に属しているが、この測定方法では、音が出ている最中の低周波音の存在やそのピークを正確に同定できないのだ。
それどころか、dBスケール(A)は音のレベルを平均化することで、被害をもたらす音の存在を隠してしまう(マスキング)のだ。
しかし、このdBスケール(A)を重視するシステムが、あらゆる風車騒音のガイドラインの基礎とされている。
そこで裁判所はー大半の専門家の支持を受けて-特定の場所で起きている音のレベルと種類を判断するには、その場所において実際に測定すべきであると認定した。
裁判所は、結論として、WHO(世界保健機構)も「環境中の騒音にさらされた人々と、その健康被害の関係を示す大規模疫学調査に基づく十分な証拠」とするスタンスであることを示している。
ヴィクトリア州モインシャーのある住民は、風車ができてて以来、健康被害が続いていることを訴えた。
「耳ー特に内耳ーへの強い圧迫感があるの。頭への圧迫感と頭痛もあり、心臓も変。体中が熱をもって具合が悪いの」
「低周波の音源近くにいると、どんな場所にいても、すぐにこの症状が戻ってくるの。生易しいものではなく、本当に体力を奪われるのよ」
(以下略)
また、我々の新温泉町の小学校で長年保健教諭として携わってこられた鎌田美由紀先生はこのような問題点を提示されています。
風力発電の問題点 感覚過敏への影響
1、学校現場の課題・・・増える発達しょうがいの子どもたち (6パーセントといわれているが・・・)
2、発達しょうがいの子どもの困難さとは・・・感覚過敏を持っている
・能力を発揮するとは、自分の中にあるものを表現すること (アウトプット)
・感覚過敏とは体内の入ってくる情報の処理に困難性がある (インプット)
・インプットがうまくいかなければアウトプットもうまくいかない
・インプットへのサポートが必要 (特別支援教育)・・・手話、点字など
3、感覚過敏とは・・・五感感覚の敏感さとアンバランス
☆発達に困難がある子だけでなく、通常学級の子どもたちにも多々見られる症状
☆誰でも体調が不全になると感覚過敏となる
・聞こえすぎる、音の聴こえる周波数の範囲が広い (しかし見たものが処理できない)
・見えすぎる、ある数字だけ色がついて見える (しかし聞いた音が処理できない)
・匂いに敏感 (理科の薬剤の臭いなどに敏感)
・触れるものに敏感 (寒さ暑さ、衣服、人が触れることに敏感)
・味に敏感 (微妙な味がわかる)
・内臓の粘膜の敏感さ
*つまり身を守るために危険に対して敏感となっている
*危険とは=自分にとって嫌なこと
*嫌なことに常にチャンネルがあっている子どもたち
4、自閉症の特長・・・聴覚過敏 (音に敏感 わたしたちが聴こえない音にも)
5、長年の保健室勤務の実態から
①見えないものを見たり聴こえない音を聴いている子どもたち
・ストレスが高く学習活動に支障がある
②理解してもらえないことの苦しさ
・人は自分の五感の世界しか理解できない
6、風力発電の問題とは感覚過敏がある多くの子どもたちへの影響大
過敏な大人 (ストレスを感じやすい人への影響大)
①耳に聞こえない低周波音によるよりどころのない影響
・原因不明の不安や恐怖心を高める
②心の不安や恐怖は身体の緊張を高める
③心と身体の緊張は身体の症状を引き起こす
・落ち着きのなさ
・イライラ
・不眠
・不安愁訴
____________________________________
設置される風力発電機から
●0.5~1km範囲には
・住宅 942戸 ・幼小中学校 2校 ・福祉施設 1施設
●1~1.5km範囲には
・住宅 160戸 ・福祉施設 1施設
●1.5~2km範囲には
・住宅 208戸 ・学校 1校 ・医療機関 1施設 ・福祉施設 1施設
という状況となっている。
健康被害が甚大だとされる半径2km以内にこれだけ多くの民家が存在し、町の大切な子どもたちが育まれる学校施設までが
存在していることに危機感を感じました。
現在もこの低周波による健康被害が続々と報告されているようです。
とはいえそれがしっかりと立証されていないというのが現時点での環境省の応答です。
むしろ風力発電の先進国である北欧の方がよっぽど理解があるようです。
疑わしきは止めろというスタンスの北欧に対して、証明されるまでは突き進めという日本のスタンスに厳しい言葉を投げかけておられる方もいらっしゃいます。
また、ヨーロッパでは風車から住宅まで10キロ離すのがスタンダードであるのに対し、今回の計画は住宅までわずか500メートルという、あまりにも乱暴な計画です。
どう考えても許すわけにはいきません。
もしかすると低周波どころか、騒音が直接届く恐れもあるということは否定できません。
尚、熊谷から久斗山へと峠を少し下ったところに、牛を多頭飼育されている「中村牧場」があり、牛への騒音の影響が心配されます。牛はとってもデリケートだと聞いたことがあります。
もちろん、桧尾にある豚の飼育場も同様です。
この問題については想定外でした。風車の影による人の不快感への被害もあるというのです。
シャドーフリッカーとは、晴天時に風力発電設備の運転に伴い、ブレードの影が回転して 地上部に明暗が生じる現象を指す。住宅等がシャドーフリッカーの範囲に入っている場合、 この影の明暗により住民が不快感を覚えることが懸念されている。 (環境省資料より)
今回の21基の風車は山の上に建設されることが予想されます。
今はまだ風車がどの場所に建設されるか、どの向きを向いているのかなどの資料が提出されていないためわからないのだが、巨大風車の影が伸びて住宅にかかることも考えられるでしょう。
やはり風車と山間部にある住宅との距離があまりにも近いということが、非常に心配です。ただでさえ短い日照時間がさらに短くなるなどの被害のリスクもゼロではないということです。
風力発電で電気を作りますが、その電気は電圧や周波数を整えて電力会社の系統に連系します。
今回、事業者の説明では、関西電力との合意はできているということでした。
つまり送電線を這わせ、関西電力の鉄塔に繋げるのです。
その際に送電線より出る電磁波が身体に影響ないかという議論もなされているようです。この点もしっかりと事業者に電磁波測定をお願いしたいところです。
この地図のピンク色が「氷ノ山後山那岐山国定公園」で、緑色が「但馬山岳県立自然公園」を示すのですが、見事にその隙間を狙ってきていますね。
しかし事業実施区域もイヌワシ、クマタカの生息地であると言われているのです。
イヌワシについて
クマタカについて
クマタカは森林の豊かな動物相によりその生存を支えられており、開発の波に非常に敏感な一面をもっています。近年の個体数減少も森林開発によるものが大きいとされています。クマタカの生存には豊かな森林環境が不可欠で、これを保全することが求められています。 (いきものログより)
イヌワシやクマタカは『絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律』で『希少野生動植物種』に指定された絶滅の危機にある野生生物です。
『絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律』は、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存を図ることを目的とする日本の法律である。1993年(平成5年)4月1日施行。野生動植物保存法、種の保存法]とも呼ばれる。
・指定種の捕獲や所持・流通(生きた個体のほか、全体の剥製、標本、器官およびその加工品を含む)等の規制による個体保護個体保護
・指定種の生息地内の開発等を制限する生息地保護
・生物の保護増殖
が種の保存法の三本柱である。 (Wikipediaより)
この地に大規模な風力発電施設ができるということは、この絶滅危惧種のイヌワシやクマタカの生息環境を脅かすことに繋がります。
その餌となる動植物も守らなければならないのです。
それとともに、『バードストライク』に遭うリスクも考えなければならないということです。
バードストライクは、鳥が人工構造物に衝突する事故をいう。
風力施設のバードストライクは、国内ではトビ、オジロワシやその他の猛禽類、カモメ類、カモ類、カラス類などで衝突死が報告されている。
風力発電の先進国であるデンマーク、オランダ、イギリス、アメリカなどから、より長期にわたる詳細かつ定量的な調査報告がなされている。
猛禽類や渡り鳥の衝突事故が懸念されている。また、施設が希少種の生息域やその近くとなることも心配されている。 (Wikipediaより)
実際に2008年には岩手県釜石市にある「釜石広域ウインドファーム」において、イヌワシが飛翔中に回転する風車ブレードと衝突し死亡したという事例が報告されています。
またコウモリが衝突する「バットストライク」も同じです。
果たして、この自然を切り崩してまで風車を建てる意味があるのでしょうか。
今私の頭にたくさんの疑問符が浮かび上がってきています。
最近、熊谷の栃谷口仁連寺間のカーブのあたりで野鳥を観察している人を見つけます。
近所の方が「何が見えますか」と聞いたら、「クマタカが見えます」とおっしゃったそうです。
そんなお話を聞いて、あ~、ほんとにいるんだな~と私は嬉しくなり、この希少な鳥が生息するこの豊かな自然を守っていきたいなという気持ちが改めて湧きました。
山陰海岸ユネスコ世界ジオパークに認定されているエリアですので、影響が懸念されることもあると思います。
そして事業実施区域の地盤がもろいことから、将来の大災害に繋がる可能性が高いという意見が住民から出ています。それは地質調査で立証されるでしょうから、しっかりとやってほしいものです。
ただでさえ、熊谷川の水量が減ってきているのが気になっています。森に保水力が失われてきているのでしょう。
その上大規模に森林を伐採することで、いったいどうなるのか想像もつきません。
善住寺でも、井戸水を重宝していますので、水が汚染されることの不安が付き纏います。
高山地区の方からも、「もし大空山のあたりに風車ができるならばとんでもない話だ。そうなれば高山の水は止まる。その水は高山の生命線なんだ」という声が上がっています。
風車一基あたりから3千トン以上の土砂が出ると聞いています。どう処理するのでしょうか。
山をけずり谷を埋めるのならば、災害はまぬがれません。
景観に関しては、湯村温泉街に影響が出そうです。なにしろ150メートルの風車ですから。
今、私たちに何ができるのでしょうか。
少し古い資料で2012年末となっていますが、4割ほどの紛争が確認されています。
現時点でもいろいろとあると思うのですが、「三大明神風力発電事業」と「遠野風力発電事業」の2つが計画されている遠野町などでは、住民の9割近くが計画中止の署名に賛同しており、「住民の合意はまったく得られていない」「原発の『安全神話』と同じ構造だ」と事業中止の勧告を経産省、環境省に対し、強く求めたという記事がネットニュース上に見ることができました。
また林野庁に対し、事業予定地の水源かん養保安林指定を解除しないようにも求めたということです。
「原発を認めない熊森は、エネルギーとどうするのかとよく聞かれます。自然再生エネルギーを利用するのは大切ですが、それによって現在せっかく残されている貴重な自然を破壊するのなら、何をしているのかです。
熊森は、すでに自然が完全に破壊されてしまっている都市部で、自然再生エネルギーが得られるように技術革新がなされることを願っています。」 (実践自然保護団体 日本熊森協会)
自然を壊す「自然エネルギー」など必要ありません。
まずはこの大自然を守る会を立ち上げ、この美しい故郷を大切にする住民の想いを、事業者、県知事、環境省、経産省に届くように、高らかな声にしていきたいと思います。
皆さま、お力をお貸しください。
≪風力発電について学びたい方はこちらをどうぞ≫
【保存版記事】
◎新温泉町風力発電事業にストップ! ~環境アセスメントの制度を知る【保存版】~
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12384160701.html
◎新温泉町風力発電事業にストップ! ~工事の概要【保存版】~
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12389584237.html
◎「(仮称)新温泉風力発電事業に対する県へのお願い」 いのちをつむぐ会より
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12390233821.html
◎「風力発電における健康への影響」面から、新温泉風力発電事業に絶対反対(保存版)
https://ameblo.jp/anzac76/entry-12455400095.html
山地 弘純
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